名選手列伝
ロビンソン・ペレス・チェコ 1993,1995−1996
1971.9.9生 右投・左右打 ノビジャ中
とても残念な選手、チェコ
■ドミニカのカープアカデミーが(やっと)生んだ「巨星」、それがチェコ。1995年のシーズンに突如として現れ、あれよあれよという間に勝ち星を重ね一躍エースに。ヤクルトとの首位争いが白熱し、新エースのチェコへの期待は日増しに高まるばかり。ところがペナントレース終盤になってチェコが投げない。なぜなんだ?そこに聞こえてきた噂が「登板拒否」。その理由が、「10勝以上の出来高契約がないのでもう投げない」とのこと。「なんでそんなことを?」 ■残念ながら資金的に豊富でないカープ。札ビラ飛び交うFA、ドラフトでは1歩も2歩も不利(二岡をGにかっぱらわれたのは記憶に新しい)。FA宣言した高額選手や有名選手にはおいそれとは手が出せない。「ならば育てましょう」ということで(かどうかは知りませんが)、磨けば光る原石を探してドミニカに作った野球学校がベースボールアカデミー。選手育成かけた金は、日本で活躍して返してもらう、そこに営利主義的な経営者の考えがあったとしても、プロ野球球団はつきつめていけば営利団体なのだから、誰もせめるわけにはいかないはずである。金をかけたのはカープ、だからある程度選手に対して所有権があったとしてもいいじゃないか! ■単純に勝利を喜んでいたチェコがどうして豹変してしまったのか?その陰に当時のヤクルト監督の息子が代理人として絡んでいたのは周知の事実である。某投手のドジャーズ入りに暗躍したと言われるその代理人が、どうしてチェコに?なんでこんな時期に?あれこれ勘ぐっていくと、タイミングが良すぎるのである。カープとヤクルトは首位争いの真っ最中。そこに降ってわいた新エースの登板拒否。どう考えても話ができすぎである。結果としてカープは優勝を逃してしまったのだから、これ以上の愉快なことはあるまい(相手さんにとっては)。ただ、最近の報道(一連の熟女バトルとやら)によると、現阪神監督夫人とその代理人が絶縁状態にあり、ここ数年口も聞いていない等々を聞くにつけ、「代理人の単独行動だったのかなあ」とも思えるようになってはきたが…。 ■シーズンオフに向けてチェコが言い出したことが、「広島球団の人種差別」、「契約書のサイン偽造」。これを聞いてほとんどのカープファンは思った。「そりゃないよ、チェコ。誰のおかげでそこまでにしてもらったのか、よく考えてみろ」、と。親子のけんかで、「誰のおかげで大きくなったと思ってるんだ!」、「頼んで育ててもらった覚えはない」と言い合いになることが多いが、チェコの場合は違う。大きくしてやったのはカープで、カープのおかげでここまでになれたのだ。少々の恩を返してくれてもばちは当たらない。少なくとも日本人ならそう考えるはずである。 ■チェコ騒動はそれだけで終わりではなく、他のアカデミー出身の契約選手へと飛び火していく。最終的にはすべてのアカデミー出身者と代理人契約を結んだことで、カープとアカデミー出身選手との確執は広がっていく。これではまるで、荒れ地を数年がかりで耕して、やっとの思いで得た収穫物を強奪する強盗と同じじゃない?どうしてカープがそこまで標的になるのかまるでわからない。代理人の弟が数年間カープに在籍したことがあるが、その時に確執はなかったのか?江戸の敵を長崎で討つではないが、弟の恨みを兄が晴らす? ■結局チェコは、翌年代理人契約を破棄し、「広島球団の人種差別」、「契約書のサイン偽造」を撤回し(撤回するぐらいならするな!)、再度広島との1年限りの契約を結んだが、トレーニング不足からか、既定路線だったか、シーズン途中にちゃんと「故障」。昨年の実績は見る影もなく、シーズンオフには大リーグへ売り飛ばされてしまいました。本人はうれしかったかもしれないけれど、客観的にみれば絶対に本人にとって大損の選択であったことにまちがいはないでしょう。代理人にとってはいいビジネスだったのかしらん?? ■1995、1996年の2年間、もしチェコが活躍していれば2年連続セリーグ制覇も夢ではなかったはずである。それだけにチェコ騒動は本当に残念であった。いや、残念では済まされない痛恨事である!!代理人の単純な口車にのってしまったということは、チェコの純真さを如実に示していると信じたい…。本当に惜しい選手を失ってしまったものである。どうせなら、1996.5.18の対阪神戦でノーヒットノーランをさせてやりたかった(1被安打、14奪三振、2四死球)…。せめてもの記念に。 ■今のチェコがどうしているか気になる人は、ここhttp://espn.go.com/mlb/profiles/profile/5788.htmlへアクセスしてみてください。流れ流れて彼は今ドジャーズにいます。大リーグでほとんど成績らしい成績はあげていません、残念ながら。 |
成績
試合 | 完投 | 無点勝 | 無四球 | 勝利 | 敗北 | セーブ | 勝率 | 投球回 | 四球 | 三振 | 失点 | 自責点 | 防御率 | |
’95 | 28 | 10 | 3 | 2 | 15 | 8 | 0 | .652 | 193.2 | 98 | 166 | 64 | 59 | 2.74 |
’96 | 9 | 3 | 1 | 0 | 4 | 1 | 0 | .800 | 50.2 | 24 | 36 | 31 | 27 | 4.80 |
計 | 37 | 13 | 4 | 2 | 19 | 9 | 0 | .679 | 244.1 | 122 | 202 | 95 | 86 | 3.17 |