名選手列伝

A.ケサダ 1998
1978.7.9生 右投・右打 カープアカデミー


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カリブの大砲になりそこねた未完の大砲ケサダの巻

■ドミニカ出身の野球選手と言えば、デストラーデとかソーサとか、どちらかと言うと「大砲」と言うイメージが強いのに、なぜかドミニカのカープアカデミー出身の野手と言えば小柄でちょこまかと動き回るタイプばかり。育成方針がそうなのか、本物の大砲は直接大リーグに引き抜かれるからなのか、わざわざドミニカから連れてきた選手としてはいさかさ力不足に見えてしかたがない。

■外人(助っ人)に求める第一の素養としては「豪打」、すなわち大砲。当たれば(これが一番肝要だが)ピンポン玉のようにオーバーフェンス、劣勢の試合展開をひと振りで振り出しにもどせるパワー。アベレージヒッターよりも意外性。4番打者というよりも6番、7番に置いておきたいタイプ。これをペレスやペルドモ(退団)に求めるのは酷というものである。

■大砲ばかりそろえてもリーグを制覇することが不可能なのは、ここ数年の巨人がキッチリと証明してくれている。確かに野球というスポーツが、打力よりも守備力が重要であることは百も承知である(今年1999年、いやと言うほど思い知らされた)。しかし、しかし、今の広島に完璧な投手力と守備力を求めるのは全くもって無理である。

■今年の負けパターンを分析するに、序盤で投手が打ち込まれそのままずるずると押し切られたパターンが実に多かったことか。若手の投手を無理して使っているんだから仕方がない。これは理解できる。しかし、しかし、大差がついた試合でやっとつくったチャンスで、とてもホームランなんて望めそうにない(ましてや打率も低い)下位打線のバッターが続くのでは見ている方も興ざめである(なかなか連打、連打っていうのもそう簡単にはないし)。

■そんな展開で打順が巡って欲しいのが(代打でもいい)カリブの大砲であってほしいのである。唯一、「もしかしたら」と期待を持たせてくれたのがケサダであった。1998年、一軍にあがったケサダは34試合に出場し61打数19安打3本塁打。135試合フル出場したとすると(打数480で計算)、本塁打24本のペース。「このペースでいくと…」という計算ほどあてにならないものはないにせよ、大砲の片鱗は見せていたと私は思う。少なくとも、間違いなく、ペレスやペルドモよりもホームランが期待できる打者であった。

■「さあ、来期は」という矢先、ペレスとともに大リーグ移籍を希望。入札制度適用第1号になり、結局大リーグへと転身。一緒に入札を行ったペレスがどの球団からも指名されなかったことを考えるにつけ、やはり潜在能力は高かったのではなかろうかと思う私である。本格化したケサダを今年(1999年)市民球場で見てみたかったとしみじみ思う。今どこのチームで何をしているのかなあ…。


成績(シーズン)

チーム 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 四死球 三振 併殺打 打率
’98 広 島 34 61 19 29 14 0.311

 

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