名選手列伝

山根和夫　１９７７−１９９６
１９５５．８．２生　右投・右打　岡山県出身　勝山高−日本鋼管福山


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神様仏様、山根様々の巻

■山根和夫。今年（１９９９年）、日本ハムファイターズ投手陣の不調の責任をとって投手コーチを辞任した報に接して、彼のことを思い出したミドルオールドファンも多かったはずである。入団は昭和５２年。当初からその球威はかなり期待されていたらしいが、残念ながら故障のため２年間は泣かず飛ばず…。その彼が昭和５４年の対巨人戦、先発した池谷の後をうけて初勝利。あれよあれよと勝ち星を重ねて迎えた１９７９年日本シリーズ、「シリーズ男・山根」の華麗なる登場である。

■おどろくなかれ、２００勝投手の北別府でさえも昭和５４、５５、５９年の日本シリーズでは勝ち星がないのに（９試合に登板、０勝４敗、防御率３．０２）、山根は同じ９試合に登板してなんと５勝！。これら３回の日本シリーズ全てを制覇しているので、全勝ち星１２勝のうちの約半分を稼ぎ出したことになる。

■山根といえば剛速球とフォークのイメージが強い。しかし、このたび成績を見直してみて気が付いたが、投球回数に対する三振の割合が約０．３〜０．５程度。このことは、投球回数２〜３回で１三振のペースであり、力で相手をねじ伏せる「剛速球投手」にはほど遠い。一方四死球率は約０．２。５回に１個、つまり１試合あたり２個あるかないかで、３個というのはまれなケースであることがわかる（いずれも１９７９〜１９８４のシーズン記録）より。つまり、山根というピッチャーはコントロールのいい投手であったことがわかる。

■シーズンにおける安定感と言う意味からすると、１９８４年を除いて「エース」、「大黒柱」あるいは「投手陣の軸」というにはいささか物足りないものがある（ここ数年のカープ投手陣に比較すれば立派なエースであるが）。しかし、しかし、いずれにしても、山根のピークとカープの黄金期がちょうど重なったことが、カープに日本一３回をもたらしたことは疑うべくもない事実である。こと日本シリーズに限って言えば、「神様、仏様、山根様々」、３回のうち１回でも日本シリーズＭＶＰを本当にとらせてやりたかったと思うのは私だけではないはずだが…。


成績（日本シリーズ）


試合 完投 無点勝 勝利 敗北 ｾｰﾌﾞ 勝率 投球回 四死球 三振 失点 自責点 防御率
’７９　広　島 ３ １ １ ２ １ ０ ．６６７ ２０．０ 　５ 　７ ４ ４ ２．２５
’８０　広　島 ３ １ １ ２ ０ ０ １．０００ １９．０ ８ １３ ６ ６ ２．８４
’８４　広　島 ３ １ ０ １ ０ ０ １．０００ ２３．０ ６ １１ ６ ５ １．９６
計 　９ ３ ２ ５ １ ０ ．８３３ ６２．０ １９ ３１ １６ １５ ２．１８


成績（シーズン）

試合 完投 無点勝 無四球 勝利 敗北 ｾｰﾌﾞ 勝率 投球回 四死球 三振 失点 自責点 防御率
’７７　広　島 ９ ０ ０ ０ ０ ０ ０ ．０００ １２．０ 　７ 　８ ７ ３ ２．２５
’７８　広　島 ２ ０ ０ ０ ０ ０ ０ ．８００ ０．１ 　０ ０ １ １ ２７．００
’７９　広　島 ２７ ５ ２ １ ８ ４ ０ ．６６７ １３０．１ ２５ ８３ ４８ ４２ ２．９１
’８０　広　島 ３５ １４ ２ ３ １４ １３ ０ ．５１９ ２３０．２ ５４ １１２ ９０ ７６ ２．９６
’８１　広　島 ２９ １４ ３ ６ １２ １１ ０ ．５２２ １９５．１ ３１ ９４ ８０ ６７ ３．０９
’８２　広　島 ３０ １０ １ ２ ７ １２ ０ ．３６８ １９１．２ ４７ ６６ ８４ ７２ ３．３８
’８３　広　島 ３４ ９ １ ３ １０ １３ ２ ．４３５ ２０７．２ ５７ ６７ １００ ８８ ３．８１
’８４　広　島 ３２ １３ ３ ２ １６ ８ ０ ．６６７ ２２２．０ ５４ １０２ ９０ ８４ ３．４１
’８５　広　島 １０ ０ ０ ０ ０ ２ ０ ．０００ １８．２ ５ ０ ２０ ２０ ９．６４
’８６　広　島 １ ０ ０ ０ ０ ０ ０ ．０００ ２ ２ ０ １ １ ４．５０
’８７　西　武 ６ ０ ０ ０ ０ ０ ０ ．０００ ７ ８ ４ ２ ２ ２．５７
’８８　西　武 ３２ ０ ０ ０ ５ ０ ２ １．０００ ４９．１ １７ ３９ ８ ７ １．２８
’８９　西　武 ３１ ０ ０ ０ ６ １ ４ ．８５７ ５３．１ １７ ２９ ２５ ２３ ３．８８
計 ２７８ ６５ １２ １７ ７８ ６４ ８０ ．５９０ １３２０．１ ３２４ ６１２ ５５６ ４８６ ３．３１


　

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