2000年シーズン総括(と言うほどたいそうなものではありませんが)
■ | 広島カープは136試合65勝70敗1分の借金5で20世紀最後の2000年シーズンを終了しました。結局今シーズンも借金生活から抜け出せず、これで4年連続の5割割れ。4年も連続して5割を切ってしまったのは、なんと1961(昭和36)〜1967(昭和42)の7年連続以来。1991(平成3)の優勝以来、丸9年優勝から遠ざかっているだけでなく順位も3年連続5位(Bクラス)と、1972(昭和47)〜1974(昭和49)の3年連続最下位以来約25年ぶり…。一体全体、あの強いカープは何処へいってしまったのでしょうか?思うに、今の凋落は、1996(平成8)に巨人に大逆転されたシーズンに端を発しているように思います。 |
■ | あの年のカープは春先から絶好調で、7月までは悠々と首位を突っ走っていました。ところが巨人との北海道シリーズで連敗してからおかしくなり、徐々に後退。いつのまにやら首位陥落。気が付けば中日にまで追い抜かれて「今年は戴き」のシーズンが暗転、3位にまで転落してしまいました。たしかに巨人の猛烈な追い上げがあったこともありますが、「夏場に調子を落としてそのままズルズル」という、ファンにとっては後味の悪すぎるシーズンとなってしまいました。 |
1999年シーズンと2000年シーズン 貯金と借金の推移 ![]() |
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■ | ここ2シーズンも全くこのパターンに当てはまっています。これ(↑)は、去年と今年の貯金&借金をグラフにしたものです。夏場の声を聞く60〜70試合目の折り返しごろから徐々に調子を落とし、その後は5割復帰も叶わずそのままシーズンオフ。特に1999年は、ちょうどその時期に怒濤の13連敗をやらかしてしまって、最終的には20以上の借金を抱えたままジ・エンド。今年も、そこまではいきませんでしたが、やはり後半戦に見せ場は作れませんでした。一時期、「カープの季節は鯉のぼりまで」と言われて来ましたが、1999年は鯉のぼり〜夏前まで、今年はまさにそのパターン(4月〜5月初旬)と、初優勝以前の「万年Bクラス」と揶揄されていた時代と全く同じシーズン展開となってしまっています。 |
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■ | その点を明確化するために、先ほどのグラフに補助線を入れてみましょう。「・・・」は平行線です。13連敗があったために、1999年が全体的に2000年よりも沈み込んでいますが、両シーズンの「ジリ貧」傾向は全く一緒であることがおわかり頂けたでしょうか?。 |
■ | そもそも、なんでそんな現象が発生するのでしょうか?それは今年のシーズンを思い出してみればすぐ答えが出てきます。簡単に言うなら「選手層の薄さ」と控え選手の「経験のなさ」。そもそも、今シーズンは横山、澤崎、山内が開幕に間に合わず、小林幹も好調とは言い難い状態でシーズンインしましたが、前田が絶好調な上に、小山田、ウルソー(退団)、山崎慎太郎(退団)といった中継ぎ投手陣の獅子奮迅の活躍で見事なスタートダッシュをみせました。ところが、今シーズンのつまづきの第一歩は緒方の登録抹消(今季絶望)、そして第二歩は4月に大活躍した前田のスタメン落ち(結局今季絶望)。それでも打の方は、東出、キムタク、金本、そして途中加入のロペス(彼が再入団してくれていなかったら最下位の可能性も大でした)らが、前田、緒方、野村の穴を埋めてくれはしました。しかし、野球は投手力が命。無理使いが祟って、ウルソーはいつのまにやらストライクが入らなくなりファーム落ち、小山田も「えいやっ、という投球が通じなくなった(川端コーチ談)」ということで炎上が続いてファーム落ち。山崎慎も、年齢を考えない酷使が祟ってやはりファーム落ち。と、開幕当時の快進撃を支えた投手が相次いで沈没…。 |
■ | 急遽、高橋建を抑えにまわしたり河野をフル回転させたりしましたが、いかんせんコマ不足。結局両者とも便利屋のようにこき使われて、高橋建は調子を落としたまま再起のきっかけをもつかめぬうちにシーズンオフ。一方で、最終的にはオリンピックにまで派遣されてしまった河野の故障がシーズンオフ後に判明。調子がいい投手をやりくりして使わねばならないことはわかりますが、大差の負け試合の中継ぎや、セーブも付かない大勝ちしている試合のクローザーとか、素人がみても「?」と思うような投手リレーがあまりにも多かったような気がします。来シーズンは誰を抑えにするのでしょうか?中継ぎは誰?先発は6人そろえることができるの?と、投手陣に対する不安要素は山ほどあるというのに、ドラフトは野手ばっかり取りました。本当に大丈夫なのでしょうか? |
■ | 打の方は、今年1年のシーズンでずいぶんと層が厚くなりましたから、緒方、前田、野村の回復次第ではリーグ1、2を争う打線になることが期待されます。とにかくしつこいようですが投手陣、これにつきます。21世紀最初のシーズンの浮沈の鍵を握るのは投手陣次第なのです。 |