それだけは絶対ないよね
球界はドラフト以前の無法地帯に逆戻りしてもいいのか?


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@プロの選手である以上、自分の技術を売って対価を得るのは当然である。
A対価を得る以上、1円でも自分の評価を高める努力をするのは当然である。
B稼働先は職業選択の自由の観点から本人の自由意志に任されるべきである。
C第三者が選手の選択についてあれこれ異議を唱えるのは大きな間違いである。
「来季の契約について、中日抑えの切り札・ギャラード投手の代理人と中日との間に話し合いが持たれたが、条件面が折り合わず交渉は決裂。2回目の交渉結果にもよるが、ギャラード投手の解雇はほぼ確定的」って話が某スポーツ新聞に出てました。交渉決裂の最大の原因はもちろん年俸。新聞によれば、ギャラード側の代理人は今年の年俸の倍額を要求した模様です。確かにギャラードはスーパーストッパーとして、中日の勝利にかなり貢献しています。とはいえ、セーブあるいはセーブポイントが昨年比2倍になったわけではなく、それよりもなによりも、今年の中日のV逸は確定的。そんな状況下で、ギャラード側の身勝手な言い分を球団側がのめるはずもありません。そりゃあ第2回以降の交渉で両者が歩み寄ることが無いとは言い得ませんが、いきなりの倍額要求は、金銭闘争の手段というよりも決裂(=解雇)を狙ったギャラード側の狡猾な交渉手段と言えなくもありません。
ギャラードだって闇雲に職を失いたくはないはずです。それなのに、無理難題を押しつければ中日側の態度が硬化して「クビ」を宣告されるかもしれないということは簡単に想像できるはずです。でももし、万が一、「クビになった方が年俸が上がる=雇用先が決まっている」って出来レース(密約)がすでに第三者と成り立っているのであれば、今の雇用先を怒らせれば怒らせるほど自分に有利になるわけです。
もしここに、今シーズン抑え投手不在と打高投低に泣かされ続けたチームがあるとします。そのチームは今シーズンのみならず、ここ数年抑え投手に恵まれていません。ところが、幸いな事に、そのチームには潤沢な強化資金と、「常勝軍団を創りあげるためには銭金を惜しまない」という理解あるオーナーがいるとします。そしてそのチームは、無名の高校生を正々堂々ドラフトで指名してじっくりと育て上げるという地道な作業は好まず、金で解決するならFA宣言した選手をいくらでも買い集めるし、役に立つと思えばいくらでも金を積むし、ましてや一選手に対して監督に頭を下げさせることも平気という懐の深さ(?)も持っているとします。
とにかく、いの一番に補強せねばならないのは抑え投手であることは明白。自軍の若手はまだまだ不安定。かといって、抑えが任せられそうな即戦力投手がFA市場や逆指名市場に出てきそうな気配はありません。もちろん、高津みたいなビッグネームの投手をトレードで獲得できるはずはありません。「そうなると、外国人を大リーグから連れてくるか?いやいや、いくら大リーグで実績があると言っても日本では未知数だし」と思いつつふと日本のプロ野球界を見回してみると…。
回りくどい持って回った言い方は止めましょう(疲れる)。そのチームとは巨人です。そして目にとまった投手というのはカープのシュールストロムではなくて、もちろん中日のギャラードです。ギャラードが日本球界、特にセ・リーグにおいてストッパーとして通用することは十分実証済み。そのギャラードに巨人が接触していたという事も周知の事実。そのことを知った星野監督が逆上したって記事が新聞紙上に載りました。そりゃあ当然でしょう。自軍の抑えのエースを堂々と引き抜きにかかるってことは、野球協約(外国人選手にどのように適用されているかは知りませんが)を無視した行為以外のなにものでもありません(おそらく)。
巨人のギャラード引き抜き工作は失敗に終わったってことになっていたはずなんですが、ここへ来て前述のギャラード側の態度は何を意味するのでしょうか?ここで、「ギャラード側の態度は巨人の差し金」なんて事を書くとこっぴどく叩かれそうですね。でも普通に考えれば、ギャラード中日を退団→巨人と契約って筋書きが一番無理の内容に思えるんですが、どうなんでしょうか?
今回のギャラード騒動って、阪神とメイのいざこざ→巨人入団って流れと極めてよく似ているように思っているのは私だけでしょうか!とはいえ、Cを除いた@〜Bをたてにとられると、もし万が一ギャラードが巨人に入団することになったとしても、巨人サイドの言い分としては「ギャラードが自分の意志で自分を高く評価してくれたチームと契約を結んだ」ってことで問題なしってことになるんでしょうね。でも、戦力として評価し来季の契約を結ぶ意志のある中日球団に対して、交渉決裂になることを見越して(絶対的に中日球団としてはのめない)条件を出すような態度が、果たして「正しい」ことになるんでしょうか?
ギャラード問題はどのような推移をたどってどのように帰結するのでしょうか?でも、もし、万が一にでも巨人入りっていうようなことのなってしまったりすると、一方で、「金を積みさえすればどうにでもなる」って風潮が醸し出されてしまうような気がするんです。「絶対金のためではない」って弁明を聞かされることになるんでしょうが、外国人選手に限って、「ナガシマ監督を胴上げしたい」、「ナガシマ監督の誠意に感動した」、「自分の背番号を譲るとまで言ってもらって感激」みたいな、とって付けたような台詞だけは吐かないと思いますが…。ただ、「中日の交渉態度には誠意がこれっぽちもない。それにひきかえ○○はサイコ−」みたいな、○○ファン以外からすれば、「ざけんなよこのやろー」的発言だけは絶対に避けてほしいものです。これぐらいの誠意を見せてもバチはあたりませんから…。
とにかく、ギャラードの今の態度には第三者の介在は一切なく、本人の身勝手からきているものと信じたいものです。自分の権利ばかりを主張しつつ、球界のルールを平気で踏みにじる行為が横行することだけは避けたいですね〜。


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