来シーズンこそブレイクだ!
ステレオタイプの采配から脱却を
■ | 第一次山本政権といえば、「若手の打者を我慢して育てた」ってイメージが強いです。チームを引きついだ時点では計算できる投手陣はいたものの,山本,衣笠時代の負の遺産(打者が育たなかった)が尾を引いて貧打にあえいでいた時代。山本監督自身は「打てるチーム作り」という明確な目標をかざして若手を鍛えはじめましたが,残念ながら投手陣を軸とした「耐えて守り勝つ野球」をせざるを得ませんでした。就任3年目に投手力のみで優勝はしたものの,最終的には投打の歯車が完璧に狂ったためシーズン終盤に大連敗をかましたため最下位に沈み、結局その責任をとって辞任。もう少し我慢してあげてもよかったような政権交代劇でした。 | |
■ | 山本監督が辞任した直後に,野村,緒方,前田,EtOHが本格化し,「ビックレッドマシーン」と呼ばれる打のチームに変貌しましたが,今度は打者優先の補強がたたり,さらには期待した投手が思ったように伸びず,やっと光を放ったカリブの原石がごたごたの末たったの1年で人手に渡ったりで,極端な打高投低の時代へ。三村監督的には山本監督とは違って「守り勝つ野球」をやりたかったのでしょうが,どつきあいに終始する攻撃野球に徹せざるをえず,結局は1996年の大逆転V逸を最後にあとは打低投低時代へ突入…。 | |
■ | 達川監督時代には,捕手の育成とその捕手を軸とした守りの立て直しが期待されましたが,主力打者の故障や目先の勝ちにこだわった投手リレーでこれまたシーズン終盤に息切れするシーズンの繰り返し。結局達川政権時代にこれといった変化は何もありませんでした。達川氏は参謀には向いているけど大将には向かないタイプだったような気がします。 | |
■ | こういう時代を経て、21世紀新時代のチームを任された「切り札」山本監督ではありましたが,ここ2年,どうにもめぼしい成果があがっていません。投打がかみ合わない上にここ一番で守乱が発生と、同情すべき点は多々ありはしますが、結局の所,第一次政権時代に育てた選手に頼らざるを得ず,かといって今政権の目玉選手もまだ現れずで低迷を脱し切れていないのが現状です。 | |
■ | 就任以来、成績の4位(本当は3位),5位と下降傾向。来シーズンはとりあえず永川という期待の星がありますが,輝けるかどうかは現時点ではまだまだ不明。栗原というイキのいい選手や,きむぴん,石原といった次代を担えそうな捕手が出てはきましたが,金本が抜け,最大の懸案事項である遊撃手についてはまたまた振り出しに逆戻り(外国人選手は所詮応急処置)と,トータル的には苦境の打破までには至っていません。チーム力の不均衡は逆指名制度とFA制度の導入の結果に他なりませんが,それを嘆いていてもどうにもなりません(いつも嘆いてばかりですが)。現在の制度内で優勝をねらえるチーム力を付けるためには高卒選手を育てるしかありません。 | |
■ | 「どうせ10年も経てばFAで出て行く」とすねていても(これは私だけか)仕方がありません。「自由競争枠とFAに加えて金に糸目をつけない引き抜きでチーム力を維持することが企業努力」という現在の風潮を憂いていても仕方ありません(いつも憂いていますが)。「去る者は追わず」が社是であるカープとしては「FAで選手が抜けてもそれに代わる選手を育てる」ことで対抗するしかありません。野村,緒方,前田,町田,佐々岡らが近い将来引退してしまうことは回避不可能な現実であり,今のうちからポスト野村,ポスト緒方,ポスト前田等々を育てなければなりません。光明としてはトップチーム以上に低迷していたファームの地力が上がったこと。ファームの勝ち負けは原則度外視(勝つにこしたことはありませんが)ですから,調子のいい選手はどんどんと一軍に上げて,上げたら即使ってみることです。結果がでればそのまま残し,でなければ次の選手を上げて使うということを繰り返していけば,必ず芽が出る選手もでてくるはずです。勝ち試合を落とすこともあるかもしれませんが,負け試合を若手選手で拾うこともできるようになるはずです。現時点の主軸選手にあまりにも比重をかけすぎた采配は近いうちに必ず破綻してしまいます。「今日はあの選手が打ったのか」とか「今日のあの投手の投球はよかった」といった目新しい吉報が毎試合耳にできるようになれば,第二次山本政権が長期安定政権となるのは間違いなく,次の監督への禅譲もスムーズにいくと思われます。首脳陣にしても子飼いのコーチばかりで固めるのではなく,もっと外の風を吹き込んでいくのもいいような気がしますがいかがなものでしょうか? |