「君打たれることなかれ」
〜主力悉く脱落の中、出れば打たれる河内を歎きて〜


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「君打たれることなかれ」
〜主力悉く脱落の中、出れば打たれる河内を歎きて〜
ああ、河内よ、君を泣く、
打たれることなかれ
ドラフト1位の君なれば
ファンの期待は勝(まさ)りしも、
コーチボールをにぎらせて
先発せよと命じしや、
一死も取れず負けよとて
24番を与へしや。

安芸の国の広島の、
老舗(しにせ)をほこる
エースにて、
大野の名を継ぐ君なれば、
打たれることなかれ。
監督は次々替わるとも、
滅びずとても、何事ぞ、
君は知らじな、
広島
チームのおきてに無かりけり。

打たれることなかれ。
投手コーチは、戦ひに
おほみづからは出でまさね、
互(かたみ)に
投手の血を流し、
マウンドの上で死ねよとは、
死ぬるを
投手の誉(ほまれ)とは、
ファンの期待の深ければ
もとよりいかで思(おぼ)されむ。

ああ、
河内よ、マウンドで
打たれることなかれ。
増えるばかりの四死球に
下がるばかりの防御率
嘆(なげ)きの中に、いたましく、
主力はケガで、仕方なく
投げよと命じる監督
眉間のシワは増(ま)さりゆく。

ライトスタンドで伏して泣く
あえかに若き
ファン達を、
君わするるや、思へるや、
初回ともたずで別れたる
ファンのこころを思ひみよ。
この世ひとりの君ならで
ああまた誰(たれ)をたのむべき、
打たれることなかれ。
歴史知鯉学子


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