「君打たれることなかれ」
〜主力悉く脱落の中、出れば打たれる河内を歎きて〜
■ | 「君打たれることなかれ」 〜主力悉く脱落の中、出れば打たれる河内を歎きて〜 |
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ああ、河内よ、君を泣く、 君打たれることなかれ ドラフト1位の君なれば ファンの期待は勝(まさ)りしも、 コーチはボールをにぎらせて 先発せよと命じしや、 一死も取れず負けよとて 24番を与へしや。 安芸の国の広島の、 老舗(しにせ)をほこるエースにて、 大野の名を継ぐ君なれば、 君打たれることなかれ。 監督は次々替わるとも、 滅びずとても、何事ぞ、 君は知らじな、広島の チームのおきてに無かりけり。 君打たれることなかれ。 投手コーチは、戦ひに おほみづからは出でまさね、 互(かたみ)に投手の血を流し、 マウンドの上で死ねよとは、 死ぬるを投手の誉(ほまれ)とは、 ファンの期待の深ければ もとよりいかで思(おぼ)されむ。 ああ、河内よ、マウンドで 君打たれることなかれ。 増えるばかりの四死球に 下がるばかりの防御率 嘆(なげ)きの中に、いたましく、 主力はケガで、仕方なく、 投げよと命じる監督の 眉間のシワは増(ま)さりゆく。 ライトスタンドで伏して泣く あえかに若きファン達を、 君わするるや、思へるや、 初回ともたずで別れたる ファンのこころを思ひみよ。 この世ひとりの君ならで ああまた誰(たれ)をたのむべき、 君打たれることなかれ。 |
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歴史知鯉学子 |