来シーズンの守備をどうする??


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■黄金期のカープには伝統的にユーティリティープレーヤーが存在していました。古くは木下、一時期の山崎、最近では高。守備固めとしては衣笠の代わりの中尾、山本浩二のかわりの小川など。ユーティリティプレーヤーが本来の力を発揮するのは、あくまでレギュラーポジションが固まっている場合でのこと。きっちりとレギュラーが固定されている上で、時々できる穴を埋める便利屋。本人にとってはいたく不満かもしれませんが、チームや監督からしてみればこれほど使いやすい選手はいません。今シーズンのカープには、あちこち守らされた選手はたくさんいましたが、レギュラーが固定できないための試行錯誤と言えるので、本来の意味からはちょっと違います。

■いちばん割を食ってしまったのが木村拓也。セカンド(44試合)、ショート(9試合)、サード(4試合)、外野(25試合)、捕手(4試合)と首脳陣の気まぐれによってあちこち守らされ、エラーをするたびにガンガン野次られる。木村の嘆きもわかる気がします。便利屋でこき使われてご愁傷さまです。そこそこそつなくこなせれば、それはそれで「レギュラー(とにかく毎試合出ることはできる)」になるのでしょうが、やっている方はたまりません。少なくとも捕手は外して、せめて内野が外野に固定してほしいところでしょう。

■100試合以上一つのポジションを守っているのは、西山、江藤、緒方、金本。裏切り者江藤がいなくなってしまった今となっては、来シーズンのサードはぽっかりと空いてしまいます。一体誰を使うつもりなのでしょうか?江藤がデビューしたときは、キャンプ中、大下コーチが付きっきりで守備を鍛えました。打力を優先して少々の失敗には目をつむるという大英断で使っているうちに、守備の方もそこそこ上達しました。1993年〜1996年、1998年はベストナイン、1996年に至っては、なんとゴールデングラブ賞(!)も同時受賞となるわけですから、我慢して使うというのも意味があることなのです(それだけ我慢してせっかく一人前にしてやってもFAで、はいさよならですからねえ)。

■守備要員として獲得したはずのディアスが目を覆うばかりのざる守備(時折ファインプレーもありましたが)。キャンプでの猛特訓がたたって古傷を再発させた野村も往年の切れがなく、ディアスと並んで今シーズンの「失策王」。二人併せて30失策では、残念ながら使い道がありません。せめてディアスが最初のふれこみ通り守備だけでも1級品だったら、野村を一塁手として使うなどの方策があったのでしょうが…。

■さて来シーズンはどうしましょう(苦笑)。フルシーズンで固定できそうなのは金本と緒方のみ。まあ、前田が100試合出場できれば、とりあえず外野は安泰なのですが(可能性はかなり低いですが)…。
やはり心配なのは三塁手。一番手は町田になると言われてますが、今シーズン三塁手としてはたったの3試合。江藤の後釜として獲ったボールの守備がいかほどのものなのか、キャンプインして実際に見てみないとわかりません。「打てない」、「守れない」→シーズン途中に解雇という道筋をたどる可能性の方が大(打ったら打ったでロペスのように契約がこじれる)なので全幅の信頼は置けそうにありません。ならばと、新井を大抜擢する手もあるかもしれませんが、これは江藤以上に大冒険。最後まで三塁の穴を埋めれそうにありません。

■一塁手についても頭が痛い限りです。とりあえず左投げの嶋、浅井、守備の負担を軽減する意味で野村(これはもったいないが)。新外国人のボールがとりあえず使い物になるとすれば、町田、新井も一塁手の候補になります。ボールの守備もダメとなればボールまで一塁手要員(あくまで打撃力があるとしてですが、ないなら即二軍行き)。ざっと拾ってみるだけで6人。一塁も穴になりそうです。

■二塁手、遊撃手もこれまた難しいです。首脳陣は東出にショートをやらせたいみたいですが、そうすると今度はセカンドが不在に。失礼ですが木村拓也ではちょっと「…」です。正田の背番号を引き継いだ兵動も今シーズンのような状態では木村よりは下。福地、若林も今のところ二軍レベルの扱いですから、無理矢理ディアスを使ってくるかもしれませんが、これはこれで「…」と頭の痛い限りです。ここで町田を使うとしたら、いつぞやの小早川みたいな感じで失笑を買うだけです。

■捕手はやはり西山でしょうが、やはりフルシーズンを考えると不安です。瀬戸も今ひとつだし、木村一喜もこれまた未知数(瀬戸の例もある)。とすれば田村に期待するしかないのでしょうか(最後のチャンスかもしれません)。

■結局、投手、外野手を除いた残りの5つのポジションがとても固定できそうにありません(号泣)。今シーズンと同じ結果になってしまうのではないでしょうか?江藤がいないぶん、今シーズンよりも期待が持てそうにありません。守備が固定できない限り、残念ながら来シーズンのカープもBクラスでしょう…。ただ、今のカープは若手にとって大チャンスであることには間違いありません。一人でも二人でも80試合以上同一のポジションを守れる選手が出てくれば21世紀のカープは多少なりとも明るいのですが…。そうでなければ、来年のドラフトでは即戦力の内野手を大金をはたいてでも獲得するしか手がなさそうです。


1999ポジション別守備

選手名 ポジション
捕手 一塁手 二塁手 三塁手 遊撃手 外野手
浅井 樹 0 64 0 0 0 5
朝山東洋 0 0 0 0 0 21
新井貴浩 0 28 0 0 0 2
井上浩司 0 0 2 0 0 1
江藤 智 0 24 0 100 0 0
緒方孝市 0 0 2 0 0 132
金本知憲 0 0 0 0 0 135
木村拓也 4 0 44 4 9 25
倉 義和 10 0 0 0 0 1
嶋 重宣 0 22 0 0 0 21
鈴衛佑規 1 0 0 0 0 0
瀬戸輝信 54 0 0 0 0 0
玉木朋孝 0 0 2 10 3 0
田村 恵 11 0 0 0 0 0
ディアス 0 0 13 14 84 0
笘篠賢治 0 0 17 0 0 0
西山秀二 101 0 1 0 0 0
野村謙二郎 0 21 0 14 58 0
東出輝裕 0 0 68 2 7 0
兵動秀治 0 0 11 4 0 0
福地寿樹 0 0 2 1 0 5
ペルドモ 0 0 15 1 4 0
ペレス 0 8 0 0 0 1
前田智徳 0 0 0 0 0 103
町田康嗣郎 0 36 18 4 0 10
森笠 繁 0 0 0 0 0 14
山田 潤 0 3 0 0 0 6
若林隆信 0 0 2 0 0 3


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